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宮川 和也; 柏谷 公希*; 小村 悠人*; 中田 弘太郎*
Geochemical Journal, 57(5), p.155 - 175, 2023/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Geochemistry & Geophysics)厚い海成堆積層の深部には、地層の堆積時に取り込まれた海水が埋没続成過程で変質したと考えられる地下水(化石海水)が存在することがあり、このような場は、地層の隆起・侵食を経ても天水浸透の影響を受けず、地下水流動が緩慢であると判断される。続成過程ではケイ酸塩からの脱水などにより間隙水の塩濃度の低下などの変化が生じる。しかしながら、鉱物からの脱水反応のみでは水質変化を定量的に説明できず、水質進化の過程が明らかではない。本研究では、埋没過程におけるケイ酸塩からの脱水反応および圧密による間隙水の上方移動を考慮した解析モデルを構築し、埋没過程で生じ得る間隙水の水質進化について検討した。その結果、オパールAから石英に至る脱水反応の影響及び粘度鉱物からの脱水影響を強く受けた水質は、ボーリング調査による観測結果と近い値を示した。本解析結果は、地層の埋没続成過程において形成された化石海水の水質が地層の隆起以降現在まで保存されている可能性を示唆するものであり、化石海水が存在する場の地下水流動が緩慢であることを強く支持するものである。
野口 弘喜; 上地 優; 田中 伸幸; 竹上 弘彰; 岩月 仁; 笠原 清司; Myagmarjav, O.; 今井 良行; 久保 真治
International Journal of Hydrogen Energy, 46(43), p.22328 - 22343, 2021/06
被引用回数:12 パーセンタイル:58.36(Chemistry, Physical)熱化学水素製造法ISプロセスは、高温ガス炉,太陽熱,産業廃熱などの様々な熱源を利用して、高効率に大規模水素製造が可能な方法のひとつである。ISプロセスの研究開発課題は、硫酸やヨウ化水素酸などの厳しい腐食環境における工業材料製機器の健全性とそれらの機器による安定した水素製造の実証である。原子力機構では、工業材料製の耐食機器を開発し、それらの機器を組み込んだ水素製造試験設備を製作し、上記研究開発課題の解決に向け、本試験設備の試験運転を進めている。安定した水素製造を行うために、HI-I-HO溶液の安定送液技術の開発、大量漏えいを防止するためのグラスライニング材の品質保証の改善、ブンゼン反応器における硫酸脱水法によるヨウ素析出防止技術の開発を行った。これらの改良により、水素製造量約30L/h、150時間の連続水素製造に成功し、厳しい腐食環境における工業材料製機器の健全性及び安定した水素製造を実証した。
加藤 愛太郎*; 雑賀 敦; 武田 哲也*; 岩崎 貴哉*; 松澤 暢*
Earth, Planets and Space (Internet), 66(1), p.86_1 - 86_8, 2014/12
被引用回数:22 パーセンタイル:55.47(Geosciences, Multidisciplinary)紀伊半島下で発生する非火山性群発地震の発生メカニズムを明らかにするため、稠密地震計アレイ観測データに基づく詳細な地震波速度トモグラフィ解析とレシーバ関数解析を行った。その結果、群発地震発生域下に低速度域が存在することを明らかにした。この低速度域は高電気伝導度・高減衰域と空間的に対応しており流体の存在を示唆する。また、陸のモホ面の深さは、群発地震発生域下では約32kmであるのに対し、南に行くにしたがって約20kmまで浅くなる傾向がみられた。この構造は、マントルウェッジの蛇紋岩化に影響を受けていると解釈できる。さらに、南側から沈み込むフィリピン海プレートの海洋性地殻は、浅部では低速度で特徴づけられるが深部では高速度へと変化しており、海洋性地殻内の含水鉱物の脱水反応が沈み込みに伴い進行していると考えられる。沈み込むフィリピン海プレートの脱水がマントルウェッジの蛇紋岩化、地殻下部への流体移送を生じさせ、非火山性群発地震の発生に影響を及ぼしていると考えられる。
長縄 弘親; 鈴木 英哉*; 野呂 純二*; 木村 貴海
Chemical Communications, (23), p.2963 - 2965, 2005/06
スーパーウイーク陰イオンであるTFPB-の「場」の効果によって、「ソフトドナー」抽出剤を用いずともLnからAmを分離することが可能となる。たとえば、この「場」の効果を利用すれば、代表的な「ハードドナー」抽出剤で従来の溶媒抽出系ではAm-Ln間の分離能をまったく示さなかったCMPO(カルバモイルメチレンホスフィンオキキシド)を用いてさえ、硝酸水溶液からAmのみを選択的に抽出・分離することができる。「場」の効果は、TFPB-の脱水和促進作用によってもたらされる。このような「場」の効果によって、ありふれた配位子の潜在的な選択的分離能を引き出すことが可能になる。分子認識化学は狙った化学種に特異的に結合する配位子の開発にたよって発展してきたが、このような「場」の効果の利用は、それとは異なる新しい分子認識の方法論である。
宮川 和也; 柏谷 公希*; 小村 悠人*; 中田 弘太郎*
no journal, ,
厚い海成堆積層の深部には、地層の堆積時に取り込まれた海水が埋没続成過程で変質したと考えられる地下水が存在することがあり、このような場は、地層の隆起・侵食を経ても天水浸透の影響を受けず、地下水流動が緩慢であると判断される。続成過程では、ケイ酸塩からの脱水などにより間隙水の塩濃度の低下などの変化が生じると考えられている。しかしながら、鉱物からの脱水反応のみでは水質変化を定量的に説明できず、水質進化の過程が明らかではない。本研究では、埋没過程におけるケイ酸塩からの脱水反応および圧密による間隙水の上方移動を考慮した解析モデルを構築し、埋没過程で生じ得る間隙水の水質進化について検討した。その結果、オパールAから石英に至る脱水反応の影響及び粘度鉱物からの脱水影響を強く受けた水質の2つの傾向が確認され、ボーリング調査による観測結果と近い値を示した。このことから、天水との混合を経ずとも、埋没続成過程において、低塩濃度且つ酸素同位体比が海水より重い水質が形成され得ることが確認された。本成果は、経産省資源エネルギー庁委託事業「令和3年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業」の一部である。
宮川 和也; 柏谷 公希*; 小村 悠人*; 中田 弘太郎*
no journal, ,
厚い海成堆積層の深部には、地層の堆積時に取り込まれた海水が埋没続成過程で変質したと考えられる地下水(化石海水)が存在することがあり、このような場は、地層の隆起・侵食を経ても天水浸透の影響を受けず、地下水流動が緩慢であると判断される。続成過程ではケイ酸塩からの脱水などにより間隙水の塩濃度の低下などの変化が生じる。しかしながら、鉱物からの脱水反応のみでは水質変化を定量的に説明できず、水質進化の過程が明らかではない。本研究では、埋没過程におけるケイ酸塩からの脱水反応および圧密による間隙水の上方移動を考慮した解析モデルを構築し、埋没過程で生じ得る間隙水の水質進化について検討した。その結果、オパールAから石英に至る脱水反応の影響及び粘度鉱物からの脱水影響を強く受けた水質は、ボーリング調査による観測結果と近い値を示した。本解析結果は、地層の埋没続成過程において形成された化石海水の水質が地層の隆起以降現在まで保存されている可能性を示唆するものであり、化石海水が存在する場の地下水流動が緩慢であることを強く支持するものである。